公務員になろうと思った日

当時、私は柔道整復師としてデイサービスで働いていた。
仕事は好きだった。でも、給料が安かった。
娘が2人いた。3歳と5歳。
生まれてからというもの、休日のほぼすべての時間を娘たちと過ごしていた。
怖い母親より、私と遊ぶほうが楽しそうな顔をする。
その顔が好きだった。
そんなとき、京都市交通局の採用情報を見た。
公務員。安定。子どもたちの将来も安定する。
「ここだ」と思った。
京都府京丹後市峰山町の峰山自動車学校に行くことが決まった

京都市バスの運転士になるには、大型二種免許が必要だ。
免許は自分で取りに行く。
京都市内でも取れるが、費用と立地の問題で、京都府京丹後市にある峰山の教習所が選ばれることが多い。
京都市交通局が費用を持ってくれる。
行き帰りの交通費、宿泊費、3食すべて無料。
京都市内で取るより総額が安くなる。
条件だけ見れば、悪くない話だ。
期間は2週間。
問題は、2週間家を空けるということだった。
キャリーケースをコロコロ引きながら

娘たちが生まれてから、私が家を空けたのは2回だけだ。それも1日か2日程度。
2週間は、未知の領域だった。
私も寂しい。
でもそれ以上に、娘たちのことが心配だった。
母親だけでは、遊び相手として物足りなくなるかもしれない。
その「かわいそう」という気持ちが、ずっと胸にあった。
出発の朝、心の中でこう誓った。
今ここだけ、涙を飲んで、しばらくだけ離れさせてくれ。
キャリーケースをコロコロ引きながら、家を出た。
峰山の生活

教習所の寮は、2人用の二段ベッドの部屋だった。
ありがたいことに、相部屋にはならなかった。
2週間、一人で快適に過ごせた。
西鉄バスの合宿研修で44歳・21歳・24歳の4人部屋を経験した私からすると、
これだけで天国だった。
食事は3食とも食堂で無料。宿泊費もかからない。
交通費も支給される。
正直、生活の質は悪くなかった。
ただ、夜になると娘たちのことを考えた。
救いはwifiが完備されていたことだ。
毎晩、LINEでテレビ電話をした。
小さな画面に娘たちの顔が映る。
それが2週間の楽しみだった。
大型二種免許の取得

教習所での2週間は、ひたすら運転の練習だ。
大型二種は、普通免許とは別物だ。
車体の長さ、内輪差の感覚、乗客を乗せることを想定したブレーキの踏み方。
最初は感覚がつかめない。
でも、2週間みっちり練習すれば取れる。
合格して、免許証を手にしたときの感覚は今でも覚えている。
これで、京都市バスの運転士になれる。
娘たちのために決めたことが、形になった瞬間だった。
峰山と西鉄バス合宿、何が違うか

同じ「合宿」でも、中身はまったく違う。
| 峰山(大型二種免許) | 西鉄バス合宿研修 | |
|---|---|---|
| 目的 | 免許取得 | 入社後の研修 |
| 期間 | 2週間 | 1ヶ月半 |
| 部屋 | 一人(ラッキー) | 4人相部屋 |
| 雰囲気 | 教習所 | 軍隊っぽい |
| 費用 | 会社負担・交通費支給 | 会社負担 |
| 食事 | 3食無料 | 3食無料 |
| きつさ | 技術的なきつさ | 精神的なきつさ |
峰山は「免許を取る場所」だ。
教官との関係も、教習所の先生と生徒という感じで、
威圧感はほとんどない。
西鉄バスの合宿研修は「会社の文化に染まる場所」だ。
軍隊っぽい雰囲気、上下関係、集団生活のプレッシャー。
きつさの種類が根本的に違う。
まとめ

峰山の2週間は、私にとって特別な時間だった。
娘を置いて行くことへの罪悪感。
毎晩のテレビ電話。
免許証を手にしたときの達成感。
公務員になるために、自分なりに覚悟を決めた2週間だ。
京都市バスの運転士を目指している人に伝えたいことがある。
峰山の合宿は、思ったよりきつくない。
費用も生活も、条件は整っている。
一人部屋になれる可能性もある。
最大の壁は技術ではなく、2週間家を空ける覚悟だけだ。
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