令和8年5月22日、
京都市交通局から市バス運転士(正職員・大型二種免許未取得者)の採用試験最終合格者が発表されました。
結果は37名合格(募集人員55名)。
募集枠を大幅に下回るこの結果は、単なる「倍率の話」ではありません。
元・京都市バス運転士の視点から、この数字が示す意味を考察します。
令和8年度 採用試験の結果概要

| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 試験区分 | 市バス運転士(正職員・大型二種免許未取得者) |
| 発表日 | 令和8年5月22日 |
| 募集人員 | 約55名 |
| 受験者数 | 84名 |
| 最終合格者数 | 37名 |
| 受験倍率 | 1.5倍 |
| 実質倍率 | 2.6倍 |
合格者の受験番号は以下のとおりです(受験番号順)。
101、104、105、107、108、110、114、115、121、124、125、129、130、132、137、139、141、144、147、151、154、157、160、162、164、167、169、170、172、304、307、309、310、311、313、315、317 以上37名
近年の倍率推移と今回の位置づけ

過去の試験データと比較すると、今回の特異性がよくわかります。
| 年度・回 | 募集人員 | 受験者数 | 合格者数 | 受験倍率 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|---|---|
| R1年度① | 約30名 | 64 | 33 | 2.1 | 1.9 |
| R1年度② | 約30名 | 53 | 25 | 1.8 | 2.1 |
| R1年度③ | 約30名 | 94 | 32 | 3.1 | 2.9 |
| R2年度① | 約30名 | 113 | 29 | 3.8 | 3.9 |
| R2年度② | 約30名 | 111 | 25 | 3.7 | 4.4 |
| R5年度① | 約30名 | 40 | 22 | 1.3 | 1.8 |
| R5年度② | 約20名 | 39 | 26 | 2.0 | 1.5 |
| R6年度① | 約30名 | 35 | 21 | 1.2 | 1.7 |
| R6年度② | 約70名 | 44 | 26 | 0.6 | 1.7 |
| R6年度③ | 約70名 | 131 | 77 | 1.9 | 1.7 |
| R7年度① | 約55名 | 120 | 65 | 2.2 | 1.8 |
| R7年度② | 約55名 | 84 | 37 | 1.5 | 2.6 |
注目すべきは実質倍率2.6倍という数字です。
これは近年のデータのなかで最高水準であり、
R2年度②の4.4倍に次ぐ高さです。
さらに重要なのは
「55名の募集枠に対して37名しか合格させなかった」
という事実。
受験者は84名いたのに、交通局は意図的に合格者数を絞っています。
なぜ55名枠に37名しか合格させなかったのか【元運転士の考察】

①「人数より質」への方針転換が起きている
R6年度③では募集70名に対して77名を合格させ、ほぼ枠を埋めています。
しかし今回は84名が受験して37名しか合格していない。
これは「基準を下げてでも人数を確保する」
という採用から、
「基準に満たなければ欠員でもよい」
という採用への転換を示唆しています。
元運転士として正直に言うと、バス運転士は採用後に大型二種免許の取得研修が待っています。
適性のない人材を入れてしまうと、研修コスト・事故リスク・早期離職という三重の損失になります。
交通局がその失敗を重ねた結果、基準を厳しくした可能性は十分にあります。
②受験者数の減少と質の低下が同時に起きている
R6年度③の131名から、今回は84名へと受験者数が大きく落ちています。
大型二種免許がなくても受験できる間口の広い試験なのに、応募が集まらなくなっています。
バス運転士という職業の認知・魅力が低下しているのか、
あるいは「受けてみよう」という気軽な応募層まで減ったのか。
そして実際に受験した84名の中から、交通局が「合格水準に達する」と判断したのは37名だけだった。
総数は減り、通過する人も少なかった
という構図です。
③次の採用試験で「処遇改善」の動きが出る可能性
55名枠に対して37名採用という状況が続けば、現場の人手不足は深刻化します。
交通局が質を選んだとはいえ、これは持続可能な状況ではありません。
次回以降の採用では、処遇改善の発表や受験条件の見直しが行われる可能性があります。
給与水準の引き上げ、免許取得支援の充実、研修制度の改善など
今後の採用情報には注目が必要です。
京都市バス運転士を目指す方へ:今回の結果から読み取れること

倍率は「低い」が、合格は簡単ではない
- 受験倍率1.5倍という数字に惑わされてはいけません。
- 受けた人の半数以上が落ちています(実質倍率2.6倍)。
面接・適性検査が重要
- 筆記試験だけでなく、運転適性・人物評価で厳しく選別されています。「とりあえず受けよう」では通らない試験です。
次の採用試験の条件を確認する
- 募集人員・受験資格・試験内容は回ごとに変わります。公式の採用ページを必ず確認してください。
まとめ

令和8年度の結果をまとめると
- 募集55名に対して合格37名、実質倍率2.6倍(近年最高水準)
- 交通局は「人数より質」を選んだ可能性が高い
- 受験者数自体も減少しており、業界全体の課題が表れている
- 今後の処遇改善・条件変更の動きに注目
京都市バス運転士の採用試験は、大型二種免許なしで受けられる数少ない公営バスの採用機会です。
次回の試験情報が出た際は、またこのブログで解説します。
さらに詳細な記事もぜひ参考にしてください
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筆者プロフィール:元・京都市バス運転士(4年勤務)。西鉄バス・スカイホップバスへの転職を経て、現在は柔道整復師として整骨院の分院長を務める。バス運転士の現場経験をもとに情報発信中。





